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美容クリニック3院の予約・電子カルテ・LINE公式の分断を統合した事例 ─ 予約離脱率を37%から12%へ

業界
医療・美容クリニック
規模
都内3院・スタッフ約40名・月間予約約3,800件
対応期間
78日

課題

予約・電子カルテ・LINE公式の3つが完全分断、顧客は問い合わせのたびに別チャネルへ誘導され予約離脱率37%。スタッフは1日平均2.5時間を転記作業に費やしていた。

解決策

電子カルテ(CLIUS)を残しつつ、予約システムをCoubicから自社カスタムへ刷新、LINE Messaging APIでリマインド・予約変更を一元化。PHIはLLM・予約システム側に転送しない設計に固定。

成果

予約離脱率37% → 12%、スタッフの転記作業は1日2.5時間 → 30分。新規予約のLINE経由比率が18% → 64%へ移行、3ヶ月のリピート率も8ポイント改善。

## 予約システムが3つに分裂したクリニックの相談

ご相談は都内で3院を運営する美容クリニック、月間予約約3,800件、スタッフ40名規模。最初の打ち合わせで出てきた症状はこう整理されました。Web 予約は Coubic、来院後の電子カルテは医療系SaaS(CLIUS)、LINE 公式は別のチャットツール経由で運用、メルマガは Mailchimp。患者から見ると「LINE で質問→予約は Web へ誘導→施術後のフォローはまた別」という分断が日常化していました。

数字で見ると深刻でした。予約画面まで到達したのに完了せずに離脱する率が37%、Coubic 標準値の20〜25%を大きく超えています。スタッフの作業時間を計測した結果、LINE で受けた予約変更依頼を予約システムへ転記する作業に1日平均2.5時間、3院合わせて月67時間が消えていた。経営側の最大の課題は「LINE で予約を完結させたい」、現場の最大の課題は「電子カルテとの二重入力をやめたい」── 出発点が違うままプロジェクトが空中分解していました。

## 何を統合し、何を統合しないかの線引き

最初に決めたのは、電子カルテ(CLIUS)には手を入れない、という方針です。医療情報を保持しているシステムを差し替えるのは、診療継続性の観点で必ず半年以上の準備が要ります。電子カルテと予約システムは、患者ID(医療側で生成される番号)で疎結合に繋ぐだけ。問診票や施術履歴、いわゆる PHI(Protected Health Information)に該当する情報は、予約システム側には絶対に転送しない設計に固めました。

統合対象は予約・LINE・メルマガの3つ。Coubic は機能制約(LINE 側からのリマインドが弱い、ノーショー時の再予約導線がない、施術メニューの組み合わせ予約に弱い)から離脱し、自社カスタムの予約システムを Laravel 11 + Vue 3 で構築、LINE Messaging API を主導線に置きました。メルマガの Mailchimp は契約継続、ただし配信トリガーを予約システムから打つ統一に。

## LINEを主導線にする設計の現実

LINE Messaging API でリマインドを送る、というのは技術的には簡単です。難しいのは「LINE から返事が来た時にどう処理するか」の方。具体的にこういう問い合わせが来ます。「明後日14時の予約を、来週の同時間に変更したい」「来週のメニューに脱毛も追加したい」「今いる店舗から最寄りの院に変更したい」── これらを LINE 上で完結させようとすると、自然言語処理が必要になります。

ここで Claude Sonnet 4.6 を使った半自動応答を組み込みました。LINE からの問い合わせを内容分類し、変更系・キャンセル系・新規予約系は予約システムの該当URLを生成して LINE 内ブラウザで開く方式に。質問系(料金、所要時間、当日の準備)は FAQ マッチング、それでも答えられない案件のみスタッフ転送。応答の自動化率は最終的に64%、これが「予約離脱率の改善」に直接効きました。

PHI を LLM に渡さない設計が、ここでも重要でした。LINE のトーク内容にカルテ情報や医療相談が混入する可能性があり、これらを LLM に渡してしまうと医療情報の二次利用に該当します。「医療相談・カルテ関連のキーワードが含まれる」と前段の正規表現で検出した場合は、即座に LLM をバイパスしてスタッフ転送、というガードを実装しました。

## 78日間の構築工程

要件定義に14日、設計・PHI ラインの整理に12日、Laravel+Vue 実装に36日、Coubic からのデータ移行と並行運用に10日、現場切り替えとスタッフ研修に6日。合計78日のプロジェクトでした。

最も時間がかかったのは Coubic からの履歴データ移行です。Coubic は外部APIで予約データを取得できますが、メモ欄に手書きされていた「次回希望日」「アレルギー」「過去施術の感想」── これらを構造化データへ変換する作業が、想定の3倍かかりました。スタッフ8名と当センターの担当者で延べ40時間。データクリーニングは絶対にAIに丸投げできない領域、という教訓を新たに得ました。

## 数字での結果

切り替え3ヶ月後の数値です。予約離脱率37%→12%、Coubic 時代に比べて新規予約数は月平均で180件増加。スタッフの転記作業は1日2.5時間→30分、月67時間→14時間。新規予約のLINE経由比率が18%→64%へ移行、紙の予約票はゼロに。3ヶ月リピート率は53%→61%、これは予約変更のしやすさが直接効いていると経営層も認めています。

ライセンス費用は Coubic 月額33,000円→自社カスタム保守費月額95,000円 + LINE Messaging API 従量約12,000円。月額で見ると6万円増ですが、転記時間の削減(スタッフ人件費換算で月額22万円相当)と離脱率改善による新規売上増(月額180万円相当)を差し引くと、4ヶ月で初期費用を回収しています。

## この事例の汎用的な教訓

1点目、医療情報を扱う統合プロジェクトでは「何を統合しない」を先に決めるべきです。電子カルテに触ろうとした瞬間、プロジェクトは半年から1年へ膨らみます。

2点目、LINEを主導線にする業態(美容医療、エステ、整体、フィットネス)では、自然言語応答の自動化率が成果に直結します。ただし PHI や個人情報のガードを後付けで入れると工数が膨大になり、設計初期で組み込むこと。

3点目、データ移行のクリーニングは絶対に過小評価しないこと。AIに任せられる領域とそうでない領域の見極めが、プロジェクト総工数の半分を決めます。

予約・顧客管理・LINE の分断に困っているなら、初回相談から方針提示まで2営業日以内に対応可能です。

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