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クラウド請求最適化 ─ AWS・GCP・Azure の「高すぎる請求書」を構造から直す

「何にいくら使っているか説明できない」を終わらせ、使い方の是正 → コミットメント割引 → 再発防止ガードレールの順で請求を立て直す

AWS・GCP・Azure の請求が事業規模に対して高すぎる、内訳を説明できない、値上げと為替で読めない ── NAT Gateway・RDS・BigQuery・Log Analytics など定番の浪費ポイントを2週間で診断し、削減額と引き換えに失うものを併記して提示。削減後は Budgets と異常検知で再発を防ぐ体制まで構築します。

## 請求書が読めないのは、あなたのせいではない

AWSの請求書には200を超えるサービスの明細が並びます。Cost Explorerを開いても「EC2-Other」という項目が月30万円を占めていて、その内訳がNAT Gatewayのデータ処理料だと突き止めるまでに半日かかる。そういう構造になっています。

クラウド費用の相談で最も多いのは、高いこと自体ではなく「何にいくら使っているか説明できない」状態です。経理から問われても答えられない。値上げや為替で請求額が動いても、どこが動いたのか分からない。削減の前に、まず請求の解像度を上げる必要があります。

ここを飛ばして「とりあえずリザーブドインスタンスを買う」のは推奨しません。使い方が歪んだまま割引を固定すると、歪みごと1年あるいは3年ロックインされます。コミットメント割引は是正の後。順序を逆にしないことが原則です。

## 削減余地は、だいたい同じ場所から出る

診断を重ねると、削減余地の出る場所はかなり偏っていることが分かります。

筆頭はNAT Gatewayのデータ処理料です。ECRやS3へのアクセスがNAT経由になっていて、VPCエンドポイントを置くだけで月10万円単位が消えるケースが珍しくありません。次にRDS。本番と同スペックの検証環境が24時間365日起動している、検証環境にまでMulti-AZが設定されている、gp2のまま不要なIOPS課金を払い続けている ── この3つは定番中の定番です。

CloudWatch LogsとS3も必ず見ます。保持期間無制限のログが数十TB溜まり、誰も読まないログに月数万円を払っている。S3はライフサイクルルールを整備し、アクセス頻度の低いデータをGlacier Instant Retrievalへ落とすだけで容量単価が約1/5になります。未使用のEBSボリューム、付け替え忘れのElastic IP、止め忘れたSageMakerのノートブックインスタンスも拾います。地味ですが、合計すると無視できない金額です。

使い方の是正が終わってから、Savings PlansやRIといったコミットメント割引を設計します。直近の利用実績ではなく、是正後の着地見込みに対してコミットする。ここを外すと割引率は伸びません。

## GCP・Azureも考え方は同じ、罠の場所が違うだけ

GCPはBigQueryのオンデマンドクエリ課金が事故の主犯格です。パーティション分割されていないテーブルへのフルスキャンが日次バッチに紛れ込み、月のスキャン量が数百TBに達していたという相談を繰り返し受けています。物理容量課金への切り替えやスロット予約で桁が変わることもあります。Azureで多いのはLog Analyticsの取り込み課金と、VM削除時に消し忘れたManaged Diskです。

マルチクラウド構成では、クラウド間のデータ転送(egress)が静かに膨らみます。Cloudflare R2のようなegress無料のストレージを間に挟む構成が効く場面もあれば、素直に片方へ寄せた方が安い場面もあります。構成図と請求書を突き合わせないと判断できません。一般論で「マルチクラウドはやめましょう」と言うつもりはありませんが、転送料を見ずに組まれたマルチクラウドは、ほぼ例外なく割高です。

## 円建ての予算とドル建ての請求

クラウド費用が読めない理由は使い方だけではありません。請求はドル建て、予算は円建てです。構成を一切変えていなくても、為替が10%動けば請求も10%動きます。さらにベンダー側の値上げが重なります。ここ数年でも、主要SaaSやクラウド関連サービスの価格改定は珍しいものではなくなりました。

予算策定の段階で為替の感応度を織り込んでいる中小企業はほとんどありません。当センターでは診断時に「為替が±10円動いた場合の月次影響額」を試算して添えます。財務側との会話が一気に楽になる、と言われる項目です。値上げのアナウンスが出た際にどの項目へ波及するかを即答できる状態を作っておくことも、請求最適化の一部だと考えています。

円安局面では国内リージョンの構成見直しや、egress無料系サービスへの部分移行が相対的に効きます。逆に言えば、為替を理由にした拙速なクラウド脱出(オンプレ回帰)は推奨しません。ハードウェア調達・保守人件費・電源と空調まで含めた総コストで比較すると、回帰で安くなるのは利用パターンが極めて安定したワークロードに限られます。

## 「削りすぎ」は障害になる

コスト削減には反対側のリスクがあります。検証環境を夜間停止にした結果、深夜リリース前の検証ができなくなった。Multi-AZを外した3ヶ月後にAZ障害で6時間止まった。スポットインスタンスへ寄せすぎて月末バッチが期限内に終わらなくなった。どれも実際に起きることです。

当センターの診断では、削減案ごとに削減見込み額と「引き換えに失うもの」を必ず併記します。月3万円の削減のために可用性を落とすかどうかは事業側が判断すべきことで、インフラ担当が黙って決めてよいことではありません。即実行できる無リスクの項目、設計変更を伴う項目、事業判断が必要な項目の3段階に分けて提示します。

## 進め方 ─ 最初の2週間で全体像を出す

読み取り専用のIAMロール(請求情報とCost Explorerへのアクセス)を発行いただければ、診断は開始できます。本番環境への変更権限は診断段階では不要です。CUR(Cost and Usage Report)をAthenaで集計し、サービス別・タグ別・時系列の費用構造を可視化したうえで、削減項目を金額順に並べたレポートを2週間で提出します。

実行フェーズでは、変更のたびに影響範囲を事前共有し、本番作業は必ず切り戻し手順を用意してから行います。削減して終わりではなく、AWS BudgetsとCost Anomaly Detectionによる異常検知、タグ付け規律の整備、月次コストレビューの運用設計まで含めて完了です。一度削減しても、ガードレールがなければ1年で元に戻ります。最終成果物は安くなった請求書ではなく、請求書を説明できる体制だと考えています。

対応領域・特徴

よくあるご質問

Q. どのくらいの請求規模から依頼する意味がありますか?

A. 月額30万円を超えたあたりからが目安です。経験上、是正をしていない環境では請求額の20〜40%に削減余地があり、月30万円なら年間で70万〜140万円規模になります。月額10万円未満の場合、診断費用の回収に時間がかかるため、セルフチェックリストの提供にとどめることをお勧めしています。

Q. 本番環境を触られるのが不安です。診断だけでも可能ですか?

A. 可能です。診断フェーズで必要なのは請求情報とCost Explorerへの読み取り専用アクセスのみで、リソースへの変更権限は一切不要です。実行フェーズに進む場合も、変更内容の事前共有と切り戻し手順の用意を必須としています。

Q. リザーブドインスタンスやSavings Plansをすでに買っています。手遅れですか?

A. 手遅れではありません。既存コミットメントの消化率を確認し、未消化分の用途付け替えや、満了タイミングに合わせた再設計を行います。ただし使い方の歪みを固定したままのコミットメントは割引効果が目減りしているケースが多く、満了前でも是正を先行する価値は十分あります。

Q. 社内のインフラ担当と衝突しませんか?

A. 削減提案は担当者の設計を否定するためのものではなく、判断材料を揃えるためのものです。削減額と引き換えに失うものを併記し、最終判断は事業側と担当者に委ねます。むしろ「ずっと気になっていたが手が回らなかった」項目を外部の手で片付ける形になることが大半です。

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